今から約20年ほど前となる1990年台後半に資金繰りに悩んでいる中小企業を相手に法定金利をはるかに上回る暴利による融資を行っていた事業向け貸金業者が社会問題化していたことをご存知でしょうか?

当時はまだ貸金業の許可を取得することは難しくはなく、簡単に金融業者としての登録をすることができました。

そのため貸金業の許可を受け正規の金融業者として悪質なヤミ金融が蔓延していたのです。

このヤミ金融の手口はどのようなものかといいますと、日本全国の多重債務を負う事業者にダイレクトメールや電話による勧誘で無担保融資の営業をかけ、手形や小切手を担保に貸付を行っていました。

ヤミ金融による金利は法外なものでトイチ(10日間で10%の金利)の数倍となる

  • トサン(10日間で30%の金利)
  • トゴ(10日間で50%の金利)

といった映画の「闇金ウシジマくん」ばりの悪質極まりない水準での融資でした。

もちろんこのようなヤミ金融に借りる理由はお金がないからであり、当然ながら返済日になってもお金を工面することはできません。

そんな時にまた別の金融業者から営業があり返済するために新たな融資を受けることになるのです。

最初に借りた金融業者と返済するために借りた金融業者は同じグループであり、こういったグループによるヤミ金融は「システム金融」として多くの被害が相次ぎました。

2003年にはこのシステム金融を国内最大の暴力団、山口組の直系団体による五菱会事件がメディアに大きく取りざたされたのです。

その後、手形・小切手を担保とするヤミ金融は減少していきましたが、2017年にはファクタリングを装ったヤミ金融が逮捕されました。

ではこの手形・小切手を担保にするシステム金融とファクタリングを装ったヤミ金融にはどのような違いがあるのでしょうか?

手形・小切手を担保に高金利での融資をしていたヤミ金融

ヤミ金融の手口

「ヤミ金融」という言葉の定義としては、国(財務局)や都道府県に貸金業としての登録を行っていない貸金業者、または、その業務を指すことになり金融登録があればたとえ法定金利を超える高金利で貸付を行っても貸金業法違反にはなりません。

手形や小切手を担保に高金利での融資を行っていた当時のヤミ金融は貸金業の登録をし業務を行っていました。

違法となる高金利にもかかわらず、資金繰りに頭を抱える事業主に融資をし暴利をむさぼりとっていたのです。

現在はこのような手形や小切手を担保にするヤミ金融はほとんどいなくなったのではないでしょうか?

その理由としては

  • 改正貸金業法によって罰が厳しくなった
  • ヤミ金融で使用する銀行口座がすぐに凍結される
  • 手形や小切手を使用しなくなった

といったものが挙げられます。

特に以前は企業間の支払は約束手形によって行われるのが一般的でしたが、現在では「でんさい」という電子決済システムが手形の代わる決済方法となっているのです。

そんな事業者向けのヤミ金融は手形・小切手ではなくファクタリングにシフトチェンジしたというのは本当なのでしょうか?

ファクタリングを装ったヤミ金融とは?

ファクタリングを装ったヤミ金融

2017年1月にファクタリング業界を揺るがす大きなニュースが流れました。

「ファクタリングを装った高利貸し逮捕 大阪府警」

そもそもファクタリングは融資ではなく売掛債権の買取でありもちろん金利もありません。

それにも関わらずファクタリング会社として中小企業に期日前の売掛債権の売買を行っていた業者が逮捕されました。

なぜファクタリングでヤミ金融のように貸金業法違反で逮捕されたのか?

その理由というのは逮捕された業者は売掛金の買取ではなく、売掛金を担保に融資を行っていたのです。

ファクタリングには

  • ノンリコースファクタリング(売掛債権の買取)
  • リコースファクタリング(債権保証融資)

に区別されます。

債権の買取の場合、売掛金の売買となるため貸金業の許可は必要ありませんが、保証融資には貸金業者でなければ違法行為となるのです。

したがって債権の売買をせずに融資を行っていたため貸金業法違反として逮捕されました。

通常のファクタリングでもヤミ金融同様の金利となる?

ファクタリングでの手数料

銀行などから融資を受けることのできない債務者を相手に超高金利で融資を行っていたシステム金融は手形や小切手を担保にとり、支払いが滞れば手形によって決済させる手口でした。

システム金融で借りたお金の金利は100万円借りれば10日後には130万円で返済しなければなりません。

ではファクタリングでの手数料はどのくらいなのかといいますと、2社間でのファクタリングでは売掛金の3割や4割が手数料となることもあり支払いまでの期間は異なりますが、金利と考えた場合にはヤミ金融の利息と同じような水準なのです。

ほとんどの民間ファクタリング会社では「手数料業界最低水準」などとありますが、実際には20%以上の手数料となります。

それを考慮すればファクタリングもヤミ金融も同じ水準ということになりますが、なぜファクタリングの手数料はこれほどまで高いのでしょうか?

現行法ではファクタリングの手数料の上限はない

ファクタリングを規制する法律

手形や小切手を担保に融資を行うのは貸金業としての登録が必要となります。

手形割引という資金調達方法がありますがこれも同様に貸金業によるものです。

この手形割引というのは手形の現金化のようなものであり、ファクタリングと同じなのではないでしょうか?

確かに手形割引とファクタリングは似ていますが、ファクタリングは売掛債権の売買となります。

ファクタリングというのは売掛債権を譲渡することによって買い取るサービスであり、債権を現金化した場合にはたとえ売掛先が倒産しても保証する義務はありません。

したがってファクターが期日前の売掛債権を買い取るには相応のリスクを負うことになるのです。

この売掛金が回収できないというリスクが高ければ高いほど手数料が高くなり、反対にリスクの低い売掛債権であれば安い手数料でファクタリングすることができます。

銀行などの金融機関による3社間ファクタリングの手数料は5%未満と安い手数料で現金化することができますが、普通の中小企業では相手にはしてくれないでしょう。

そのためヤミ金融の金利のように高い手数料となる民間のファクタリング会社であれば売掛金を即日で現金化することができるのです。

このファクタリングの手数料の上限に関しては現在法律はありません

したがって手数料が50%でも70%でも違法な商売ではないのです。

これは売掛債権のリスクの割合であり、もし利用するファクタリング会社の手数料が高いの感じるのであれば他の会社と比較すれば売掛債権の価値がわかるのではないでしょうか?

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